東京都に住む30代男性が北海道の熊に捧げる鎮魂歌

ポジ熊くん、きみはどうしてポジ熊なんだ。なんていやらしいアイコンなんだ。まるで北海道の石狩川で荒巻鮭を食べる雄大な熊みたいじゃないか。私は恥ずかしながら彼の魅惑的なアイコンに興奮を抑えられない。

ポジ熊の人生記

彼もきっと私を誘っている。ブログのヘッダーには扉の向こうから襲ってきそうな絵が中央に揃えられており、いつでも私を襲おうとしているメッセージだ。決定的だったのは6月22日の記事だ。

大根おろし・トマト・きゅうり」なんてエッチなキーワードを揃えたんだ!

独身男性でも手軽に食べれる野菜3選(大根おろし・トマト・きゅうり) - ポジ熊の人生記

私はポジ熊君の膵臓が食べたい気持ちに駆られる。きっとフランス料理のように私の胃袋を満足させるだろう。感動のあまり嗚咽にまみれてしまうのが怖い。

噂では女性説も流れている。だとしたらとんだ破廉恥さんだ。寄せては返す波のように彼は鋭い目線で私に問いかける「それでいいのかい?」と。

もちろんよくないよ。でもまさかハニートラップを仕掛けてくる可能性は否定できないわけで。胸が締め付けられる想いをしながら、私はポジ熊くんと初めて会った夜の日のことを思い出した。

あれは月がキレイな夜だった。私は窓から星を眺めていたら、庭にはポジ熊くんがいたんだ。私は慌てて庭の彼に会いに行った。「どうしてこんな時間帯にいるんだい?」私はそう質問したら、彼は日課の散歩だと言った。

勇気を出して私はこう言った。「もう一度歌ってくれないか…今度は私の為だけに…」。彼は少し恥ずかしそうにしながら笑顔で承諾してくれた。

浜辺で歌った彼の声は中世のヨーロッパ貴族すら魅了させたバリトンを彷彿させる。海辺の魚たちも顔をだして聞き惚れている。美声で名高い人魚姫も嫉妬してしまうなと心の中で苦笑した。

この異世界の島国の中で私は彼とこれからどのように過ごしていくべきか。明日も彼のブログをチェックしながら昔の記憶を思い出したい。